営業からWebマーケターには転職できる?営業経験は活かせる?

営業職からのキャリアチェンジ先としてWebマーケターは有望な選択肢です。
一方でこんな声も聞こえてきます。
「未経験からの転職は困難なのではないか?」
「今までやってきたことが本当に活かせるのか?」
それについて、Sadaka編集部内で監修として協力してくれている
「Webマーケターを採用する人事側」のメンバーの話を交えて解説します。
目次
そもそも誰もが最初は未経験。
こんにちは、Webマーケティング会社で人事採用を担当しています。
経験者Webマーケターはレアなので、なかなか採用はできません。
なので弊社では未経験者の採用が多いです。その観点から解説しますね。
そもそも「未経験者だから無理」というのは不思議な話です。
そんなに構えなくていいんじゃないかと。
誰もが最初は未経験で、どこかで経験をして「経験者になった」わけなので。
じゃあ、最初に一歩をどう踏み出すかを考えると、意外とたくさんの選択肢があることがわかります。
これまで面接や仕事で会ってきた人のパターンを挙げてみました。
最初の一歩を踏み出すパターン
- 新卒で、Webマーケティングを行う会社に就職した(ポテンシャル採用)
- 第二新卒で、Webマーケティングを行う会社に就職した(ポテンシャル採用)
- 異なる職種で入社したが、仕事でWebマーケティングに関わることができた(ポテンシャル配属)
- 異なるが親和性の高い職種での経験を活かして未経験で入社した(ポテンシャル採用)
- 副業や独立で経験した(実績が無くても任せてくれる顧客は、ポテンシャルで頼んでいる)
結局全ては「ポテンシャル」なのです。
では、ポテンシャルって、何でしょう?
Webマーケターとしてのポテンシャルを感じさせる人の特徴
一言でいうと、モノやサービスを「売る」ということがどういうことか感覚的にわかる人。
それってどういうことですか?
例えば、あなたが気に入っているグッズがあるとするじゃないですか。
使い勝手が良くて便利なカバンとか、料理道具とか。スマホアプリでもなんでもいいです。
そういうものを知り合いの中から1人、「この人に良いかも」、っていう人を思い浮かべて、
どんな風に話をしたら「それいいね、買うわ」ってなるか。
そこまでのストーリーをイメージできる人。
そして、「そういう人多そうだな」とか「あんまり居なさそうだな」とか、そこまでイメージが沸く人。
これまで多くの未経験者を採用してきたんですが、
やっぱりうまくいく人とうまくいかない人がいて。
Webマーケティングって、突き詰めていくと人間理解なんですよね。
ほとんどの人って、「このモノの売り方を考えてください」ってなると、
「従来品と比較してスペックが」とか「この機能が」とか、機能とかメリットで閉じてしまう。
だけど、できるなって思う人は、ターゲットを観察して、得られた情報から想像して、その機能やメリットをベネフィットに変換してくれる。
ベネフィット変換で成功した例
例えば有名な話で、お皿とかコップとかを洗ってくれる「食洗機」ってありますよね。
あれ、元々あんまり売れなかったんだそうです。
当時の価値観だと、家事で手抜きはNG、食器洗いはスポンジと洗剤でゴシゴシ洗うのが当たり前、それに結構なお金を使うのは宜しくないみたいな。
そこで「新子育て家電」と銘打って、「これがあれば子育てにもっと時間を使えますよ」と打ち出して、言い訳を作ってあげたんですね。そしたら飛ぶように売れるようになり、今や食洗機って標準的な家電ジャンルになりました。
この話の秀逸なところって、訴求しているのは「機能」でも「メリット」でもなく、「ベネフィット」だということです。
これこそ、Webでもなんでも、マーケターにとって必要なことです。

機能→メリット→ベネフィットの三段活用
少し解説しますね。
この「食器を自動で洗う機能」が、第一段階目の「機能訴求」。
伝え方は「自動で食器を洗浄しますよ。」
次に、機能によって得られる利点が、第二段階目の「メリット訴求」。
伝え方は「食器を洗う時間や手間が短縮できますよ。」
さらに、その利点の先にある利益享受が、第三段階の「ベネフィット訴求」。
伝え方は「子供と過ごせる時間が増えますよ。」
この、第三段階目のベネフィット訴求になった途端、ターゲットユーザ目線に切り替わっていることに注目してみてください。
これは、ターゲットの生活を想像して、抱える悩み、さらには当人さえ気づいていない課題にまで解像度高く描き、心の機微を捉え、刺さり行動させるメッセージにパッケージ化して届けているのです。
人を動かすための、人間心理の機微がわかる、視点を切り替えて多面的に考えられる、想像力がある。
そういうものを感じる人は「ポテンシャルあるな」って思います。
営業パーソンが意識せずとも使っている(?)ベネフィット訴求
「売る」にはこの三段階がありますが、常にベネフィット訴求がベストとは限りません。
機能・スペックで売れる市場もあれば、メリットで十分売れる市場もあります。
実際の営業の現場でもそうだと思います。
ただしそれら「スペック・機能・メリット」で売れるものというのは「ニーズが顕在化している」という特徴があります。
もう欲しいと思って探しているので、Webマーケティングとしてはそれを刈り取れば商談のベースに乗りやすい。SEOやリスティング広告が有効なエリアです。
じゃあ、「売り物によっては営業はベネフィットを使う経験を積めないのか」というと、
そんなことも全くなく。
例えば営業活動ではこんなことがあるはずです。
商品説明と見積を提示した後の詰めの商談にて
お客様「内容はわかった、モノが良いのはわかったけど、高いんだよね…」
そこに対し、「じゃあ値引きで」という話ではなく、ベネフィットに切り替えて訴求する。
営業「確かに費用は掛かります。ですがこれを導入することで品質が向上すれば、緊急トラブルで作業者が休日に呼び出される頻度が減少するでしょう。
結果、離職率も下がり、人手不足問題も軽減できるのではないでしょうか?常に採用・代替人員の確保に駆け回る業務から解放されて、前向きなことに時間を使えるのであれば御社の成長にも繋がるはずです。」
そんな風に、営業の方は結構自然とベネフィット使っちゃってる方が多いんですよね。
そういう多面思考、どの面から訴求すると人が動くのかという感覚。
Webマーケティングやる人としては魅力的なんですよね。
もちろん、テクニカルなものもあって、それは適材適所の役割分担で良いと思っていて。
やっぱり、技術が、スキルが、じゃないんですよね。
「Web制作ができる、技術ができる」であれば、ある意味Webマーケターとして活躍できなくても、つぶしは効きます。そっちで雇えるので。
ただ、マーケターに向いている人であれば、極論Webのことはわからなくてもどうにかなります。
研修でごく簡単なWeb制作の演習を1件やって、CMSも簡単に仕組みを理解すれば、Webマーケティングの土台になるWebサイトの仕組みはだいたいカバーできます。
それ以上はもう任せちゃえばいいじゃないですか。そこはそこのプロが居るのだから。
もちろん、マーケも技術も両方強い人も居ます。
ただ、何に対するプロになりたいか、というだけだと思います。
会社もたくさんあるので、自分の志向に合った会社を志せばいいだろうと思います。
Webマーケターの仕事に営業経験は活かせるのか?
なんだか話が壮大になりましたが、結局活かせるってことで良いのでしょうか?
もちろんです。むしろ、活かせないとしたら営業として本気で取り組んでこなかったのか、それとも局所的な領域で活動していたのかと想像します。
局所的、つまり手となって言われたことを考えずに実行するだけ、という人だと、ちょっと厳しいかもしれません。ただそれは営業の職場との相性であって、実は能力があるのに蓋をされてしまっていた、というパターンもあるので、実際にお会いして話をしてみないとわからないですね。
結論としては、キャリアチェンジは可能。もちろん、人それぞれ。
未経験者を対象に、ポテンシャルを見て採用している会社はたくさんあります。
ご自身の営業経験とWebマーケティングの結びつきをしっかりと提示できれば、同じ未経験者の中でも「選ばれる」可能性は十分にあります。
Webマーケティングの仕事に、営業としての経験は活かせます。
機能訴求、メリット訴求、ベネフィット訴求をシーンによって使い分けてターゲットに刺していく力、そのためのターゲットの背景を想像し、心が動くポイント・切り口を察する力、これは天性のものを除き、営業という仕事でなければダイレクトに培うことが難しい希少な素養でもあります。
Sadakaではこの「機能→メリット→ベネフィット」への変換体験・トレーニングなど、Webマーケティング会社で実際に研修として行われているものを体験できるコーナーもご用意しています。
それらを通して「自分にWebマーケターの適性があるのか」「入社後に苦労しないか」などを事前に確かめつつ、得意を活かせるWebマーケターの職種・職場を方向付けることも可能です。
ご興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。