Webマーケター養成スクールってどうなの?意味はある?

未経験からWebマーケティングを学べるスクールが増えています。
ここでは現役Webマーケターの裏話を交えて、その価値について考察します。
目次
未経験からWebマーケターへの転職時、スクールを検討する理由
未経験からの転職の場合、2つの意味でスクールを検討することになると思います。
1.スキルが無いため仕事ができるか不安
2.未経験可の募集に応募したが受からなかった
順に見ていきましょう。
スキルが無いため仕事ができるか不安
完全未経験の人にとって、Webマーケティングは未知の世界と思います。
しかし最近は様々な広告・SNSの情報などでWebマーケターという職種について知る機会が増えており、自由度の高い働き方、収入増のチャンス、手に職付けたい、将来性などからWebマーケターに興味を持つ人が本当に増えていると感じています。
ですがいざ転職したいとなっても、Webマーケティングのスキル・知識が無ければ仕事ができないのではないか?また、そもそも就職できないのではないか?という不安から踏み出せずに居る人も多いと思います。
そんな人にとってスクールは「最低限のスキルや知識を付けられる」「企業にアピールする要素が得られる」というメリットがあるため、スクールを検討することになるでしょう。
未経験可の募集に応募したが受からなかった
ここからはより積極的なパターンですが、不安を乗り越えて行動する強さがある方。
- ・転職サイトで未経験可のWebマーケター募集に応募してみたが、書類選考や面接で不採用が続いてしまった。
- ・転職エージェントに相談したが「未経験では難しい」と断られてしまった。
そんな際に、じゃあスクールを検討することになるでしょう。
Webマーケター養成スクールはプロの目から見て実際どうなのか?
ではWebマーケター養成スクールで身に付けることのできる知識や経験とはどのようなものなのでしょう?
業歴15年以上経験し、上場企業や国のWebマーケティングを多数担当している現役Webマーケターに、大手スクールの情報を一通り確認してもらいました。その見解をご紹介します。
スクールによって、カリキュラムの偏りが激しい。
色々見てみましたが、Web広告に随分偏っている所が多いなという印象です。
入学する人がわかって選んでいるなら良いと思いますが、、
Web広告運用の仕事はオペレーション(管理画面の操作)から始まり、要求される知識も少なくて済むため手を出しやすい領域ですが、Webマーケティングはそれだけではありません。
スクールは「スキル」を「短期間・短時間」で「習得させる」必要があるため、やれば誰でもできる最小公倍数的な内容にならざるを得ない側面があります。
お金をもらって提供するサービスで、広く再現性を担保するという意味では極めて正しいと思います。
各スクールで学べる内容の先に、どんな自分になるのか、それは実は広大な選択肢がある中のどれなのかを十分わかった上で、それを選びたいなら良い選択肢だと思います。
一方で、他にも面白くニーズもある仕事がたくさんあるので、これからチャレンジするのであれば可能性を限定して欲しくないとも感じます。
スクール入学の時点で気づかぬうちにキャリアの方向性が絞られてしまうのは少しもったいない気がします。
「経験・強み・個人の適性」を活かせる仕事は、明らかにその後の伸びが全く異なります。
それは本当に200倍ぐらい違う。活き活きしてますし。
また、「Webマーケターになりたいと思った根幹の動機」とマッチしている仕事であることも大事です。
色んな人を見ていてそれは結構開きがあるので。
なんとなく流されて、「やっぱりこれじゃなかった」となる人も居るので、そうしてせっかくスクールに通って就職したのに、業界を去って行く人がいるのは悲しいですね。
「Webマーケター(と呼ばれる職種)で就職すること」自体が目的で中身が何でも良いなんてことはないはずで、その先どうなっていくのかという未来の方が大事だと思います。
自習が多い。
ああ、やっぱりそうなるだろうな、という所感ですが・・・
数十万円取っているスクールでも、自習の割合ってかなり大きいんですね。
知識の土台は間違いなく必要で、それには自分で勉強して理解することが必要です。
全てがリアルタイムの講座である必要は無いし、むしろ自分のペースでやれるので良いと思います。
ただし、動画を何十個か与えられて、「それを見る」ということがノルマのようになっていたら、人によっては苦行だろうなと。こなすだけこなして、なんとなく卒業している人も結構いるのではと思います。
未経験から始めた第二新卒の若手をたくさん見てきましたが、スクール卒の人も結構居て。
皆真面目な子たちですが、「習った事実すら記憶に残っていない(カリキュラムには書いてある)」とか、単語を聞いて「あ、何か聞いたことがあるかもしれませんという反応を示すだけで、何かは理解していない」とか、「ものすごくぼやっとしたままここまで来ちゃった」とか、日常茶飯事です。
人間ですから。
一通りカリキュラムをなぞるだけで覚えられるなんて天才の所業ですよね。
それが普通だと思っています。
なので、うちの現場では基本的にスクール卒ということで何か知識や力を付けているということは期待していません。
「え?スクール卒なのにこれもわからないの?」なんてなるとお互い辛くなるので。
「スクール卒だから」というラベリングをせず、個々人を見て「この人だから」これができる、これはまだできない、知らない、これはちょっとできるという風に、人にフォーカスした方が健全だと思っています。
そういう訳で、未経験採用を積極的に行なっている会社であっても、スクール卒であることは選考時の加点要素にしていない会社もあるのだということをお伝えしたいと思います。
総学習時間が短い。
だいたい標準が80時間ぐらいでしょうか。
80時間って、入社時研修のうち、最初の2週間分ですよね。
全未経験の新人を想像して、2週間で到達できる水準となると・・・
完全未経験から2週間研修を受けても、できることはたかがしれています。
入社後に勉強する必要があることを2週間分先取りして勉強している・体験している、というぐらいで。
ただ、そのカリキュラムの内容と会社が求めるものが完全にすりあっているということはまず無い訳で、結局は研修で教え直すことになると思います。やり方も考え方も、初期に任される仕事の範囲も異なるので。
1万時間の法則というものがあります。
1つの分野でプロになるには、1万時間の練習・努力・学習を要すると言われています。
そう考えると、80時間というのは本当に入り口の、触りの部分であるとわかります。
後輩を指導するWebマーケターの立場としては、「基本概念や最低限の基本用語は知っておいて欲しい」というのが本音です。
ただ、必要なことは研修・必要なシーンで都度教えますし、
補完として推奨書籍を2~3冊読んで、知識ベースで良いので知っておいてもらえれば十分です。
「あ、何か聞いたことがあるかもしれません」レベルで、良いんです。実体験で理解するのがOJTですから。
ただしPC用語、インターネット用語がわからないと、Webマーケティングの前につまずいてしまいますので、そこだけは入社前にどうにかして欲しい。
過去にはPC経験がほとんど無いので、半年間PC・ネットの基礎用語を覚えるのに費やした人も居ました。スクール卒の人でしたが・・・。その子も今は随分立派になりました。
立派になりすぎて独立していきましたが、その後も成功しているようで嬉しく思います。
入社時点の知識・スキルよりも、結局は人なのだと思います。
結局、スクールの価値とは何だろう?
― 結局、御社ではスクール卒業者を優遇している訳ではないということですよね?
そうなります。入社前も、入社後も、特に変わりません。
― そういう会社ばかりではないと思いますが、スクールの本質的な価値って何だと思いますか?
まず、キャリアチェンジの転職がしやすくなるという価値があると思います。
キャリアチェンジの転職がしやすくなる
うちは未経験者を採用して育成する仕組みがあるのですが、そうでない会社もたくさんあると思います。
そのような会社では、基本「経験者が欲しい」ってことになります。
だけど、経験者はまず採れない。市場に出てこない。居ても優秀な人は高待遇で持っていかれる。
だから消去法で未経験者を、ということになります。
しかし完全未経験者はモノになるという保証も無いし、知識ベースの初期段階でつまずくかもしれない。だから採りにくい。そんなシーンでスクール卒の人を採用するというのは普通に行なわれる判断だと思います。
Webマーケターに転職したい人が、Webマーケティング会社に一歩歩み寄る。自腹を切り、自分の時間を使って。
Webマーケティング会社は、採用基準を緩め、転職希望者に歩み寄る。スクール卒で基礎があるなら良いよ、と。
ただし、育成体制が無いからスクール卒を、という会社の場合、やはりスクールの経験だけでは即戦力にはなり得ませんので、その後の育成もサポートも必要です。
育成体制が無いが故に完全未経験者を採れないという会社の場合、その点に不安があります。
実際に、一部のWebマーケター養成スクールはその状況を見越して、卒業後も一定期間継続サポートをするというスクールもありますよね。
ただ、実案件について相談すると営業機密の漏洩事件化してしまうリスクもあります。うちはその点厳しいので完全NGです。
かといって一般論で相談してもどこまで助けてあげられるかは限界があるところで、やはり独り立ちできるまで職場でサポートできる会社が未経験スタートに適していると思います。
ただし、職場のサポートというのは程度問題と相性もあります。
単純に「自分一人でできないと無理」というハードな職場なのか、それとも「間違ってもフォローするから、自分で考えてみよう」という育成方針の職場なのか。
自分で考えてまずやってみようという文化の会社に、自分で考えるということが不慣れな人や、正解を早く教えて欲しいタイプの人が入社すると、サポートが無いと言って辞めていくと思います。
これはシンプルに相性問題です。
Webマーケターの仕事には、唯一の正解というものがありません。
だからこそ面白いのですが、根幹的な「適性」や、「仕事に対してどこまでがんばりたいか」という気持ち、そして「価値観」の部分などが仕事の成功に大きく影響します。
Webマーケターのなんとなく事由で華々しいイメージが拡がっていますが、
仕事云々ではなく、ひとりひとりが持っているこの適性や価値観、仕事観について、もっと大切にして欲しいと思います。
それらを適切に理解して、納得いく仕事を選んだ方が幸せだと思います。
スクールのもう一つの価値としては、本人に自信が付くこと。
本人に自信が付く
「見たことがある」と「未知である」の間には大きな開きがあります。
知っているから確信を持って踏み出せます。
その階段を上る上で、スクールには価値があると思います。
スクールに入ることで結果的に自信を持ち、Webマーケティングの業界に人が増えてくれるのは良いことだと思います。
じゃあ、自信を付ける方法って他にもあるかなと考えると、色々あると思います。
自分でサイトを作ってみてもいいし、アフィリエイトをやってもいい。SNSでフォロワーを集めてみてもいい。
そう考えると、選択肢ってたくさんあるんだなと思います。
勉強だって、月数千円程度で動画教材見放題のサービスもありますし。
社内でも導入して若手が勉強できるようにしようという話もあります。そう考えると勉強はいつでもできるので、アウトプットして実践している人の方が魅力を感じます。あくまで私個人の主観ですが。
逆に、向いていないことに気づける
スクールで体験して「自信が付く」という価値もありますが、
逆に体験することで「これは自分に合っていない」とわかるケースもあるだろうと思います。
それは価値がある気づきだと思いますが、できればスクールに入学する前に気づきたいところ。
補助金をあてにしてお金を払って、やっぱり無理だったとなるとダメージが大きいだろうと思います。
まとめ
Webマーケター養成スクールの価値をまとめると、
- キャリアチェンジの転職で、書類選考を突破しやすくなる。
- 自信となり、転職に踏み出しやすくなる。
- 逆に、向いていない場合は気づくことができる。
これらが挙げられます。
スクールは有用ですが、方向性が定まらない状態で入学してしまうと、「スクールで教わる内容=自分の道」になってしまい、可能性を狭めてしまう場合があります。
また、仕事内容がわからぬままスクールに行ってみて、適性が合わなかった、やりたい仕事ではなかったとわかるともったいないです。
まずは、Webマーケターの仕事を具体的に知り、やりたい仕事の解像度を高め、向き不向きを確認した上で、必要なことを学べる方法を探すことをお勧めします。
Webマーケターと一口に言っても職種も会社も様々。
Webマーケターに興味があっても、まだぼやっとしていてどうしようという方、気軽に相談に来てください。
色々なアクティビティをご用意して、あなたのキャリアチェンジを応援します。
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